
巷ではよく「◯◯を飲んで身長+5cm」「子供の身長を伸ばす◯◯」などという商品を見かけることがありますが、残念ながら、身長が伸びるサプリや食品というものはありません。というのも、身長を伸ばすためには、様々な食品(栄養)をバランス良く食べるだけでなく、適度な運動、十分な睡眠を取ることが大切だからです。
とは言っても、両親の努力で子供の身長を伸ばすことは可能です。遺伝的に身長が伸びる限界はある程度決まっていますが、摂取する栄養や睡眠の質などで身長を伸ばすことはできます。
この記事では、子供の身長を伸ばしたいと考えている親御さん向けに、身長が伸びる仕組みや身長を伸ばすため大切な栄養などを詳しく解説していきます。
身長が伸びる仕組みとは
身長が伸びるということは、骨が成長するということです。
骨はそのままの形で成長するのではなく、骨の端にある軟骨の部分が伸びて、骨になることで成長していきます。ちなみに、子供に特有の骨が成長するための軟骨の部分のことを骨端線(こつたんせん)と呼びます。身長が止まると骨端線もなくなります。
個人差はありますが乳幼児期から高校生くらいまでが一般的な成長期にあたり、この期間に骨が成長します(身長が伸びます)。身長は遺伝的な要素が大きく影響しますが、この期間に身長を伸ばす3大要素に気をつけていると、子供の身長が伸びやすくなります。
子供の身長を伸ばすための3大要素として言われているのが、「睡眠」「食事」「運動」。それぞれ詳しく解説していきます。
身長を伸ばすための3大要素
1.睡眠
骨の成長を促すためには体内で生成される「成長ホルモン」が非常に重要です。他の要素である食事と運動が十分にできていも、成長ホルモンが十分に分泌されていないと身長は伸びません。
そして成長ホルモンが分泌されるのは寝ている間、特に深い眠りについている間に大量に分泌されます。寝る子は育つという言葉があるように、寝ることで成長ホルモンが分泌され、身長が伸びる素地ができるのです。また、10時〜2時までが子供の身長を伸ばすために重要な成長ホルモンが多く分泌されるゴールデンタイムと言われています(諸説あり)。
ただし、ゴールデンタイムに寝ている場合でも、浅い睡眠では十分な成長ホルモンが分泌されないということもわかっています。子供の睡眠の環境を整えて、深い眠りにつけるように促しましょう。
2.食事
子供の身長を伸ばすためには、当然ですが食事が大切です。
「カルシウム=骨を作る(丈夫にする)」という考えが広く知られているためか、カルシウムを摂っておけば骨が成長すると勘違いしている方もいます。しかし、実は骨の芯の部分にあるコラーゲンはタンパク質の1種であるように、骨の成長のためにはカルシウム以外の栄養素も必要です。
身長を伸ばすためには、特に、カルシウム・マグネシウム・ビタミンD・タンパク質・亜鉛の5つの栄養素が必要です。詳しくは次の「身長を伸ばすために大切な栄養素とは」で解説していきます。
3.運動
運動をすることで骨に刺激が与えられ、成長ホルモンの分泌が促進されますし、適度な疲労が深い眠りにつながります。
運動に関しては特別なクラブ活動などが必要というわけではなく、学校の体育の授業や放課後友達と遊びまわるという程度で十分です。もちろん、クラブチームなどで活発に動くことも成長のためには全く問題ありません。
身長が伸びるために大切な栄養素

冒頭でも説明した通り、身長を伸ばすために役に立つ万能の食品はありません。様々な食品からバランスよく栄養をとることが大切ですが、子供の身長を伸ばすために特に重要な栄養素は「カルシウム・タンパク質・マグネシウム・ビタミンD・亜鉛」の5つです。
また、ほとんどの栄養素に共通していることとして、栄養を体内に蓄積しておけないということがあります。例えば、カルシウムは体内に蓄積しておけない栄養素なので、一度に大量に摂取しても必要量以外は体外へ捨てられてしまいます。「昨日カルシウムは大量にとったから今日はいらないよね」という考えは非常に危ないものです。子供の成長のためには”毎日”バランスよく食べることが大切なのです。
1.カルシウム
カルシウムは骨を強く丈夫にする役割を果たす栄養素。実は、吸収率があまり良くない栄養素で、普段から意識して摂取することが大切です。
カルシウムを多く含む食品としては、牛乳やチーズなどの乳製品、小魚や海藻などの海産物、納豆や豆腐などの大豆製品が挙げられます。これらはカルシウムを多く含む食品として有名ですが、実は小松菜やチンゲン菜、ねぎ、オクラなどにも多くのカルシウムが含まれています。
カルシウム=牛乳という考えから抜け出し、様々な食品からカルシウムを摂れるようになりましょう。
2.タンパク質
タンパク質とは、英語でプロテイン(=Protein)と呼ばれるものです。実は、古代ギリシャ語でもっとも重要なものを意味する「プロテイオス」という言葉が由来で、その言葉の通り人間の身体にとって最も大切な栄養素と考えられています。
栄養学を齧ったことがある人の中には、タンパク質=筋肉を作るものと学んだ人もいると思います。これは半分正解、半分間違いで、タンパク質は筋肉を作るための大切な栄養素でありつつ、骨を構成する大切な栄養素でもあります。例えば、タンパク質に含まれるアミノ酸の一種であるコラーゲンは骨の芯になります。
タンパク質を多く含む食品としては、肉、魚、豆類、乳製品、卵などが挙げられます。食事から十分なタンパク質を摂取するのが理想ですが、実は日本人はタンパク質が不足しがちと言われています。さらに、タンパク質を多く含む食品は、同時に脂質を多く含んでいる場合が多く、食事から十分なタンパク質を摂取しようとする場合は注意が必要です。
また、タンパク質の摂取目安量は運動をしていない大人が体重×1g、筋トレなどの運動をしている場合は体重×2g、成長期の子供は体重×2g程度が適切な量です。家族で同じ食事をする場合、体重が大人と近くなってくる小学校高学年から中高生の場合、どうしても子供のタンパク質が不足してしまいがちです。
かと言って闇雲に食事量だけを増やすと脂質などの過剰摂取にもなります。そこで、タンパク質を効果的に摂取できるプロテインなどの補助食品から補うといいでしょう。
3.マグネシウム
マグネシウムは丈夫でしなやかな骨を作るために重要な役割を果たす栄養素。また、体内のほとんどすべての酵素作用を助け、ホルモン分泌をはじめ体温調節や筋肉収縮を助ける効果があることが知られています。
子供の身長を伸ばすこととは関係がありませんが、マグネシウムが不足すると記憶力の低下、学習能力の低下、集中力が低下することがわかっています。身体面、精神面ともに子供の成長のために欠かせない栄養素です。
マグネシウムを多く含む食品としては、ナッツ類、藻類、大豆製品、魚介類、玄米などが挙げられます。近年の日本人の食生活ではマグネシウムが不足することが多いという研究もあり、意識的に摂取すべき栄養素と言えます。
4.ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素。カルシウムのところで説明した通り、カルシウムは吸収率が悪い栄養素なので、吸収を助けるビタミンDは重要な役割を果たします。
ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成できる栄養素ですが、日光に浴びることは紫外線に当たることであり、様々な理由から日光を浴びる時間は短くなっています。特に女の子は紫外線によってシミ・シワができることを防ぐために日光を浴びる時間が少ないのも事実です。
もちろん、ビタミンDは体内で生成するだけでなく、食品から摂取することもできます。ビタミンDを多く含む食品としては、しめじやきくらげなどのキノコ類、カツオやイワシなどの魚類が挙げられます。キノコ類を嫌いな子供は多いですが、ビタミンDを十分な量摂取するためには多少なりとも食べた方がいいでしょう。
5.亜鉛
亜鉛はタンパク質の合成や成長ホルモンの分泌を助ける働きをする栄養素。筋肉や骨は常に新陳代謝を繰り返しており、子供の身体は古い細胞を新しい細胞に置き換えつつ成長していきますが、亜鉛が新陳代謝を促す働きをします。
亜鉛を多く含む食品としては、牡蠣やあさりなどの魚介類、レバーなどの肉類、納豆やきな粉などの大豆製品、クルミやごまなどの種実類が挙げられます。
今回紹介した5つの栄養素は、子供の身長を伸ばすために大切な栄養素です。ただし、ここで紹介した5つだけを意識的にとっていれば十分というわけではありません。栄養素の中にはその働きが解明されていないものもまだまだ多いのが現状です。5つの栄養素は最低限満たしたい栄養素として考えておくといいでしょう。
運動後のスムーズな栄養補給として大活躍するプロテイン
ここまで子供の身長を伸ばすために大切な栄養素について見てきましたが、身長を伸ばすための3大要素は「食事」「睡眠」「運動」でした。
食事も、睡眠も、運動も全部気をつけているという親御さんでも見落としがちなのが運動の後の栄養補給です。食事は栄養バランスが大切なのと同時に、「いつ」食べるかというのも大切です。
運動後30分以内は身体が栄養を吸収しやすいゴールデンタイム。運動をした後すぐに栄養をとれるかどうかというのは子供の成長を考える上で非常に大切です。しかし、多くの家庭では運動後すぐに食事ができないというのも事実でしょう。
よくあるケースとしては、野球/サッカー/バスケなどのスポーツチームや部活動に入って練習をしている子供たち。練習が終わって家に帰ってから食事までの間、特に何も食べずに1時間程度経っていることが多いのではないでしょうか。
そこで役に立つのが簡易的に栄養を補給できる子供向けのプロテインです。子供向けのプロテインはタンパク質をはじめ様々な栄養素がバランスよく配合されているので、練習後に飲むものとしてかなり適しています。
プロテイン=筋トレをする人が飲むものではなく、子供であっても栄養素を補給するために飲んで大丈夫なものです。練習後/運動後すぐに栄養補給ができるプロテインを早いうちから活用しましょう。
まとめ
子供の身長を伸ばすためにできる様々な工夫はいかがでしたか?
身長を伸ばすためには食事、睡眠、運動の重要性を理解していただけたことと思います。「◯○を飲むだけで身長が伸びる」のような安易な広告に飛びつくのではなく、様々な面から子供の成長をサポートしましょう。
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